昭和63年11月22日
スーパーファミコンについて
任天堂株式会社
この度新しく設計致しました家庭用テレビゲーム機“スーパーファミコン”について、
下記の通り御説明致します。
スーパーファミコンは、昭和58年のファミリーコンピュータ発売以来、家庭内のテレ
ビで様々のゲームを楽しむノウハウを数多く蓄積して参りました任天堂株式会社が、この
ノウハウを活かしながら、ファミリーコンピュータを越えたゲームの世界を人々に提供す
る事を目的に、最新の半導体技術を駆使した5個のLSIを開発することで実現致しまし
た。
*スーパーファミコンの特徴
1)今まで実現出来なかった豊かな映像表現、音像表現を可能にします。
a)1ドット当たり32、768色の中から最大256色の色表現が可能です。
ファミコンでは見ることが出来なかった、奥行きのある微妙な色彩の世界でゲー
ムを満喫する事ができます。特に人間の肌の色に近い色表現も可能になりました
ので、今後ゲーム以外の映像表現を要求される分野にも、スーパーファミコンを
利用する事が可能です。
b)画面全体を回転したり、拡大、縮小することが可能です。
回転、拡大、縮小と言ったダイナミックな映像表現が可能になりますので、ゲー
ムの世界を一段と迫力有るものにすることができます。
c)特殊画面効果機能が備わっています。
最近テレビ番組によく利用されているウィンドウ、モザイク、フェードイン、フ
ェードアウト、画面加減算及び固定カラー加減算機能など、特殊画面効果機能が
備わっていますので、より面白味のある画面演出が実現出来ます。
d)スクロール機能が強化されています。
複数の背景を縦又は横へ移動させる事が出来るだけでなく、その一部分をプログ
ラマブルに縦および横に移動させる、部分スクロール機能が強化されています。
e)最大縦横64ドットのスプライト表現ができます。
大型キャラクタがファミコンに比べて、利用し易くなります。
なおファミコンのスプラィトは、縦横8ドットです。
f)横512ドットの画面表示ができます。
横512ドットの画面表示ができますので、漢字等の表現が容易になります。
g)8種類の背景モードが自由に設定出来ます。
ドットあたりの色数、同時にスクロール出来る背景数、画面の横ドット数等の組
み合わせが違う8種類の背景をプログラムで自由に設定変更できますので、様々
のイメージの違う画面を演出することができます。
h)8音同時発声サンプラー音源を使用しています。
サンプラー音源を使用しているため、自然な音色の楽器音や、リアルな効果音、
更には人の声も使用することができます。しかも同時に8音発声出来ますので,
豊かで迫力ある音場を実現できます。
i)各種エフェクター機能が備わっています。
デジタルエコー、波形演算機能によるシンセサイズ音等各種エフェクター機能が
ゲームの雰囲気を盛り上げることに効果的に使用できます。
J)ステレオ音源です。
8音同時発声のサンプラー音源を左右のスピーカが創る音場の中に、プログラマ
ブルに設定し、ステレオで楽しむ事ができます。
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2)より奥行の有るプログラムを実現できます。
a)16ビットCPUを採用。
データバス8ビット、アドレスバス24ビットのCPUを採用していますので、
カセット内のROMメモリーはファミコンと同様、8ビットタイプのROMを使
用できます。更にアドレスバスがファミコンにくらべて、24ビットに拡張され
ていますので、最大12メガバイトのメモリーまで、直接使用(アクセス)する
事ができます。
b)DMA機能が強化されています。
ファミコンでも使用された汎用DMA以外に、一水平走査線毎に使用出来る特殊
DMA機能(H−DMA)を含む8個のDMAが備えられています。
c〉乗除算器を内蔵しています。
8ビット×8ビット乗算、16ビット÷8ビット除算が乗除算器を使用して、高
速に演算出来ます。
d)サウンド専用CPUを使用しています。
サウンド専用CPUを使用することで、画面の処理に関係無く音場をプログラム
する事ができます。
3)ファミリーコンピュータのデザインを基本に設計されています。
a)無駄な機能を一切排除したファミコン型カセットコネクタを採用。
カセットを簡単に交換出来るうえ、メンテナンス性に優れている64ピンカセッ
トコネクタを使用。更に使用中はカセットが着脱できない機構も採用しました。
b)カセットコネクタによる拡張方式を採用。
今後開発される種々の周辺機器への拡張は、ファミコンと同様、カセットコネク
タを使用します。
c)十字型コントローラを採用。
ファミコンのコントローラを基本に、更に複雑な操作が楽しめるように、ボタン
キーを拡張しました。
4)ファミコンカセットを楽しむ為に、ファミコンアダプタを同時発売。
スーパーファミコンにファミコンアダプタを接続することで、ファミコンカセットを
楽しむ事ができます。
スーパーファミコンとファミコンアダプタの切り換えは、スーパーファミコン本体に付
いているファミコンスイッチを操作するだけで、簡単に実現できます。
5)ビデオ出力端子,RGB出力端子及びS端子を装備。
高画質なテレビに接続するために、ビデオ出力端子及びS端子を装備しました。特に
S端子は、大画面でゲームを楽しむ時カラー方式によるノイズが発生しないため、美
しい映像を楽しむ事ができます。
6)ステレオヘッドホン端子を装備。
ステレオヘッドホンを使用出来るステレオヘッドホン端子を装備しましたので、周囲
に迷惑を掛けることなく、ゲームを楽しめます。
7)ファミコン用ACアダプタの使用可能。
スーパーファミコンの消費電力は、C−MOS LSIの採用により、ほぼファミコ
ンと同じであるため、ファミコン用ACアダプタがそのまま使用可能です。
8)VCCI雑音対策が施されています。
家庭用コンピュータ機器から出る電波雑音の国内規制、VCCI雑音規制基準に基づ
いた雑音対策が施されています。
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*主な仕様 CPU: 16bit CPU
メモリー領域: 最大12Mバイト
システムクロック: 1.78MHZ,2.68MHZ,3.58MHZ 自動切り換え
DMA機能: 汎用DMA,特殊DMA(H−DMA)8チャンネル
乗除算器: 8bitx8bit 絶対値乗算
16bit÷8bit 絶対値除算
ポート: 8bit I/O,コントローラ用ポート
ワークRAM: 8Kバイト装備
PPU: 2個のカスタムLSI
背景(BG)画面: |
|
|
モード |
面数 |
色/ドット |
解像度 |
0 |
4 |
4 |
256×224 |
1 |
2
1 |
16
4 |
256×224 |
2 |
2 |
16 |
256×224
(縦スクロール可) |
3 |
1
1 |
256
16 |
256×224 |
4 |
1
1 |
256
4 |
256×224
(縦スクロール可) |
5 |
1
1 |
16
4 |
256×224
インタレース時
512×448 |
6 |
1 |
16 |
512×224
インタレース時
512×448
(縦スクロール可) |
7 |
1 |
256 |
256×224
(回転,拡大,縮小機能) |
|
スプライト: 1画面中128個、1ライン中256ドット以上
キャラクタ・サイズ、 8×8、16×16、32×32
64×64のうち2種類選択
パレット 32、768色中最大128色
1キャラクタ中16色指定
ビデオーRAM: 64Kバイト装備
特殊効果機能: ウィンドウ機能
モザイク機能
画面加減算機能
固定カラー加減算機能
輝度調整機能(フェードイン,フェードアウト機能)
サウンド: 2個のカスタムLSI
サンプラー・ステレオ音源
演算波形、PCM,ノイズ等の中から8音源選択
エフェクター(デジタルエコー)機能
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*ファミコンとの比較表
機能 |
ファミリーコンピュータ |
スーパーファミコン |
カラー |
・52色中 4色 4パレット |
・32,768色中 16色 8パレット
・32,768色中 256色 1パレット |
スプライト
(1画面表示数)
(1ライン表示数) |
・8×8
・64個
・8個 |
・8×8,16×16,32×32,64×64
・128個
・32個 |
背景(BG)
スクロール
回転,拡大,縮小
ウィンドウ機能
モザイク機能
画面加減算機能
固定カラー加減算
輝度調整機能 |
・256×240
・1面
・無し
・無し
・無し
・無し
・無し
・無し |
・256(512)×224(448)
・インタレース可
・最大4面(各面独立)
・可能
・可能
・可能
・可能
・可能
・可能 |
サウンド |
・矩形波 2波
・三角波 1波
・ノイズ 1波
・デルタモジュレーション |
・サンプラー
・演算波形,PCM,ノイズの中から
8音プログラム選択
・デジタルエコー機能
・出力 16ビット直線
・ステレオ |
CPU |
・8bitCPU
(1.75MHZ) |
・16bitCPU
(3.53,2.68,1.75MHZ切替え) |
*その他
名称: スーパーファミコン
価格: 未定
月産: 30万台
発売時期: 64年7月(予定)
発売時カセット: 4種類(予定)
以後 1作/月で発売予定
同梱部品: スーパーファミコン用コントローラ
A/Vケーブル
取扱説明書
オープション部品: スーパーファミコン用コントローラ
ACアダプタ
ファミコンアダプタ
RFモジュレータスィッチ
A/Vケーブル用延長ケーブル
ファミコンとの互換: ファミコンアダプタによる間接互換
ファミコンの下取り: 検討中
4/4
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